こんな本を読みました
いま、戦争と平和を考えてみる。 (読書がたのしくなる・ニッポンの文学)
この本は文学を通して、戦争と平和?って何なんだろう・・・って疑問をもたせてくれます。
6作品が掲載されていて、順に
宮沢賢治「烏の北斗七星」
太宰治「十二月八日」
峠三吉「原爆詩集」
原民喜「夏の花」
永井隆「この子を残して」
林芙美子「旅情の海」
どれも著名な人ばかりです。ちなみにこの本は「小学生・中学生向け」なので
非常に優しく書いてありますので、私みたいな知識ない人にはもってこい!笑
戦争は自然におこるものでなく、だれかが何かのために戦争をはじめる。
それに注意していないと、戦争に自分たちが操られてしまう。
私がこの6作品の中でも一番印象に残ったのは
「旅情の海」
この話の作者である林さんは、戦争中に報道班員として国内に派遣され
戦場での兵士の戦いぶりなどを雑誌にレポートしていました。
しかし、疎開先の子どもたちに林さんが自ら書いた童話を語り聞かせていたそう。
話の内容は林さんが取材中で出会った志田さんのことを書いている。
志田さんは有名な民間飛行家であったが、戦争に突入すると
ひっそりと飛行機をつくるため、北海道の田舎の方へ引っ越す。
戦争が終結したのち、アメリカ軍が来て
自分の飛行機を焼きはらうことになる。自分の中心だったものがなくなり、どうやって
生きていこうか迷ったが、ひっそりと生きることにした。
ある時、自分の土地を整理するめに静岡へ行くことに。静岡へ行く途中に
戦争孤児の少年に出会う。その少年の純粋な、きらきらした目にひかれて、流れで一緒に行くことになる。
あす晩、その少年と銭湯へ行くと親戚にこう言われた
。
「あなた(少年)は幸福ね。あんないいおじさまにひろわれて、とてもうらやましいわ。いい子になって、おじさまにご恩返ししなくちゃァ駄目よ・・・」
志田さんはこの言葉を子どもにかけるとは残酷に思った。
戦災によって、罪のない子どもたちが町にすてられ、それを救ったからといって、ご恩返しをしろという言葉があるだろうかと、その発言をした親戚の不作法さにしゃくぜんとしないものがった。
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少年を代わりに育てるということが、ご恩返ししなくちゃいけないことなのだろうか。
戦争中は政府、天皇を神のようにたたえ、民衆は政府に対して何の疑問もなく、反抗もなく、
ただ戦う。 戦争中は犯罪者名簿もない。 人を殺すことをあたりまえとする。
そんな中で親を失った罪のない子どもたち。ただそれを救ったから、恩返しをしろ!っとそんなのありえますね? 恩返しってさ、なにかしてもらってそれに感謝するんだよね?
確かに子どもを救ったけれど、それは恩返しって言葉に値するのか?
戦争後、つらくても懸命に生きる人々。
そんな状況を作った戦争にたいしての憤りを表現している林さん。
戦争で家を失い、家族を失い、みなが将来への不安を持っている中でも
前を向いて歩いている人びとの力強い心に自分は大変恐縮してしまった。
2009年6月4日木曜日
いま、戦争と平和を考えてみる
投稿者 terumi 時刻: 7:18
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